松田壯統
The origin of Breath
shiano omachi, Nagano, Mar, 2016
Japanese / English
真っ白が世界をつつんでいるなか、暗闇の山の麓を歩く、
そこには私の息が存在していた。
ふだんはきこえない息はいつのまにか私を消して広がり、
雪に囲まれている事に気づいてしまう。
私より先に、息が気づく。
怖くなった私はくらしの光を灯し、声をあげる。
光に灯された息は雪につつまれていた。
息が私のものになると安心した私は
ふたたび光を消すことができるだろうか。
そのうちまた私の息が忘れ去られる。
神様を呼ぶ声、自然へととどける声、空間に向かって声をあげる事
それは目の前に広がる空間にたたずむ
息という見えない想いを押しふるわせていく
息と雪が出会う時、思いと雪が出会う時
雪は溶ける。
そしてそこに新しい水は生まれた。
大町に住む人の様々な想いが、雪をとかし、水をつくる
新しい緑、新しい山、新しい川、新しい霧、新しい雲、新しい声、
新しい想い、新しい春
そして新しいあなた。
そして忘れられた息。
→